大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(あ)120 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人岡田実五郎の上告趣意は、末尾に添附した別紙記載のとおりである。

弁護人岡田実五郎の上告趣意第一点について。

原判決は、被告人が商業協同組合の事務員として雇われ、判示の業務に従事中、

その業務上保管にかかる金員を擅に費消着服したとの事実を業務上横領罪をもつて

処断しているのであつて原判決の擬律は正当である。そして論旨引用の判例は本件

に適切でないから所論判例違反の主張は理由がない。

同第二点について。

本件の審理に当り、証拠調に入る前に第一審裁判官が被告人に対し公訴事実につ

いて質問しても、必ずしも違法であるとは言えないことは当裁判所大法廷判決(昭

和二五年(あ)第三五号同年一二月二〇日言渡)の示すところである。右当裁判所

の判例の存する以上、論旨引用の東京高等裁判所の判例は刑訴第四〇五条第三項の

判例に該当せず、従つて所論は同条所定の上告理由とならない。そしてまた第一審

裁判官が補強証拠の取調べに先立ち所論の被告人の自白調書並びに上申書(自白を

内容とする)の取調べをしていることは論旨の指摘するとおりであるが、本件にお

いては、被告人は裁判官の質問に対し公訴事実を認めて争わず(その質問の違法で

ないことは前記のとおりである)右各書証を証拠とすることに同意し、かつその証

拠調に異議はないと述べているのであるから(記録一四丁)原審が所論の各証拠を

採用したことをもつて必ずしも違法とすることはできない、従つて所論訴訟法違背

の主張も採用できない。なお記録を精査しても刑訴四一一条に該当する事由はない。

よつて、同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和二七年九月九日

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最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 本 村 善 太 郎

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